ドライブに疲れた体を休め、エール・ビールの馥郁とした味わいをゆっくりと楽しむにはパブは最高の場所だ。教会とパブはどんな田舎に行ってもあると評され、イギリス文化の象徴でもある。
パブに入ったら、座る席を決め、女房をそこに待たせ、まっすぐカウンターに行く。いくつも並んだビールのハンドポンプを見ながら、ちょっと考えるフリでもして、「ア・パイント・オブ・ビター・プリーズ」とやる。1パインとは568CC。3ポンド程度だ。女房にはサイダー(アップル酒)を貰い、その場でコインを支払う。これを地元の人たちは1時間かけてちびちびと飲む。つまみはまったくない。
エール・ビールは生ぬるいと聞いていたが、今はそんなことはなく、しっかりと冷やしたエール・ビールを出していた。物価の高い英国で唯一リーゾナブルな値段はビールだけだ。
パブはPublic Houseの略で、文字通り大衆のたまり場である。カウンターの前に立ったままでやるのも良し、表に出て明るい日差しを浴びながらやるのも良し。緯度も高く、夏時間を採用している英国では夜9時半ごろまで明るい。
ウエールズの西海岸に面したとあるパブでは土曜日の夕刻だったこともあり、店の中と前のテーブルからあふれた人々が、ずらりと海岸の防波堤に座り飲んでいる風景は圧巻であった。
料理を一切出さないパブが多い中で、宿泊施設と併設されたパブでは夕食が食べられる。メニューの中から適当なものを選び、カウンターに行き、自分のテーブルの番号を言って、料理を注文し支払いを済ませる。料理ができるとウェイトレスが持ってきてくれる。味は例によってあまり期待できないが、食後には多少のチップを置くことはもちろんである。 (続く)
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