12月22日の毎日新聞地方版に掲載の本文を紹介します。
次回の掲載予定は来年2月初めです。
本宮大社の旧社地「大斎原(おおゆのはら)」
本宮大社正面の大鳥居から南東へ500メートル、熊野川と音無川に挟まれた三角州が、現在の本宮大社の旧社地「大斎原」である。ここは清浄な水に浮かぶ島のようで、広さは3万平方メートル。明治以前はここに上四社、中四社、下四社の十二殿が祀られており、その規模は気宇壮大で見事な景観であったという。
しかしこの壮大な建造物群は、明治22年8月の大洪水で、上四社の社殿だけを残して他はことごとく流失した。
二年後の明治24年3月に、流失を免れた上四社の社殿を、大斎原から北西の高台に移設造営し、新しい本宮大社とした。しかし建造物の規模は、以前の8分の1ほどになってしまったというから、流失前の本宮大社の規模はいかに壮大であったかが想像できる。水害に遭って流失した中四社、下四社並びに摂社、末社については大斎原に石祠(せきし)二殿を造営し、合祀されている。
水害以前、水に浮かぶ島のような大斎原の社殿や鎮守の森は、伏拝王子から望むことができ、参詣の人々はここから本宮大社の杜(もり)を伏し拝み、感涙を流したというが、現在は伏拝王子から、この新しい本宮大社を拝むことができなくなった。
又、平成12年にここ大斎原の入口に、日本一の大鳥居が建立され偉容を誇っている。
紀州語り部 大峯 登
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