氏 名
髙石 康平
 所 属
和歌山OB会
 掲 載 日
平成20年1月23日
表 題
私のボランティア活動
本   文 


 退職直後に、「堤防保存会に入ってくれませんか?」との誘いを受けた。「何をするのですか?」と質問するほど、「広村堤防保存会」の存在や活動に関する知識は皆無であった。

 この広村堤防(国指定史跡)とは、「稲むらの火」で有名な濱口梧陵が築造したものである。

 濱口梧陵について少し触れると、安政元年(1854年)、当時の広村(現広川町)を津波が襲った際、稲むら(すすき、稲束を積み上げたもの)に火を放ち、村人を安全な高台に避難誘導させ、その後、地震と津波で壊滅的な被害を受けた村人を救うため、私財を投じて長さ600m余、高さ約5mの堤防を築く工事を行うに当たり、村人を雇用して、村の復興に大きく貢献した。こうして完成した広村堤防は、昭和21年(1946年)に発生した南海地震の際には有効に機能し、津波による被害を最小限に食いとめた。

 これらの功績をもとにした「稲むらの火」の話は戦前の教科書に紹介されていたのをはじめ、現代に通じる津波防災対策の象徴として広く語り継がれている。また昨年4月には、「濱口梧陵記念館」(濱口梧陵を顕彰、その偉業と生涯を紹介)と「津波防災教育センター」(津波防災に特化した全国にも例を見ない防災学習施設)の2つの施設からなる「稲むらの火の館」がオープンし、各地から訪れる人が散見される。

 本題のボランティア活動であるが、上記堤防を毎年5月~10月の間に5回、7~8台の刈払機を使って除草作業を行うものである。夏休み期間の作業の際は、地元の小学生達も先生方に引率されて、この作業に参加する。真夏の炎天下における4~5時間の作業は厳しいが、作業終了後は何とも言えない充実感がある。この活動に参加して既に3年が経過した。今後とも、我が町広川町の偉大なる先輩の遺徳を偲びつつ活動を続けて行きたい。

国指定史跡紹介

国指定史跡広村堤防(1)

国指定史跡広村堤防(2)

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