東燃を辞して早や15年、東京を離れて5年有余の歳月が過ぎました。現在、東広島市の片隅にある、創立11年目の大学で英語を教えています。英語専攻の学科はありませんので、いわゆる教養課程における英語で、ちょっと張り合いに欠けるところはありますが、それを補って余りあるメリットがあります。
大方の学生は医療関連の国家資格取得を目指していますので勉学態度は真面目で、かつ人柄は純朴です。そんな若い人たちに接しているせいか、手前味噌ですが、歳より若く見られます。もっとも、学生から「先生はおいくつですか」と聞かれたときに「いくつかあててごらん」と聞き返しますと、たいてい10歳ぐらい若く見てくれますが、無論これは学生のお世辞です。
大学は海抜250メートル程度の山裾に立ち、山を背にして大学の反対側は田園地帯です。空気は清澄で、散歩には快適な環境です。大学のキャンパス内に単身居住していますので、歩いていくには遠すぎる商店街まで、時々車で食料の買出しに出かけます。単調といえば単調ですが、シンプルなスローライフの魅力は味わえます。
先生と何とかは三日やったら辞められない、という戯れ言がありますが、大学の教員に関してはまんざら嘘ではなさそうです。何しろ、休暇が長い。学年末からの春休みが1ヶ月以上、年末から年始が2週間、夏休みはほぼ2ヶ月、5月の連休も人様以上に休めます。出勤簿には、大学に出ない日は「研修」というハンコ押しておけばいいわけです。この間何をやってもいいのですから、こたえられません。従って、給料が安いなどと不平を言ったら罰があたります。
今夏はほぼ2ヶ月、妻のいる埼玉の蓮田で過ごしました。東燃時代の友人たちと時たまゴルフを楽しんだほかは毎日、英和辞典関連の論文の執筆に没頭していました。年末には小冊子になる予定で、研究者仲間に無料で配布するつもりです。また、過去4年がかりでボチボチ進めていたアイルランド作家の小説の翻訳も夏休みに入る前に仕上げました。現在小さな出版社が出版を検討してくれていますが、どうなりますか。出版業界の不況と海外小説の翻訳ものの売れ行きの不調で、多くの出版社が出版には二の足を踏み、結局断ってきたあとですから、藁をも掴む気持ちでいます。
このところ東燃OB会の集まりに出席できず残念です。毎回、参加した友人から参加者の方々のご様子は伺っています。皆様にはいつまでもご健勝で幸せな日々を送られるよう祈っています。
以上
|