私のふるさと日高川町には、県内の人は周知の通りであるが、 和歌山県最古の寺、道成寺(701年建立)がある。宗派は天台宗、ご本尊は千手観音である。
国宝や重要文化財の仏像も多く、これらが全て収められた宝仏殿は圧巻であり、一見の価値がある。
とは言え、この寺を有名にしたのは、なんと言っても能楽や文楽、歌舞伎で演じられる「道成寺もの」であろう。
熊野詣の僧「安珍」に、恋の炎を燃やした「清姫」が、裏切られたを知るや大蛇になって、ここ道成寺の釣鐘に隠れた安珍を焼き殺すという、あの伝説である。伝説の通り鐘楼は今もない。
偶々、今年桜満開の季節に高校の同級生十数名で、「絵とき説法」(安珍、清姫物語など道成寺縁起の巻物を使い、僧侶が面白く説いてくれるもので、当寺の名物になっている)を、お目当てはその後の、懇親会ではあるものの、半世紀ぶりに聴きに行こうとの計画である。
お蔭様で私もすこぶる元気である。
半世紀ぶりといえば、これを書いていると、戦後再開されたばかりの東亜燃料に入社し、最寄りの「御坊駅」から汽車通勤していた東燃マンの会の名称が「安珍会」。
当然、男ばかりと思って入会したら、紅一点の「清姫」が居てビックリしたのが、何故か近々の出来事のように強烈な思い出として蘇るのは、自分も年を重ねてきたせいからだろうか。
|