パレスサイドビルから平川門、東御苑を見おろす風景には趣があり、四季の変化に富んで心を和ませるものがあった。雪でも積もれば、まさに水墨画の世界が現出した。
1997年3月、5月連休中の恵比寿新ビルへの移転を目前にして、私は長年馴れ親しんできたこの眺望を、なんらかの形で記憶にとどめたいと思うようになった。机上のペン皿から細いサインペンを取り出し、リポート用紙の裏面にごく短時間で描いたのが「平川門鳥瞰」である。家で少し墨を加えた。
そのコピーを持っていた大橋益男氏から、ホームページへの掲載を勧められた。絵を描くことも絶えて久しく、このスケッチも稚拙、乱雑なものだが、元住民の往時を顧みるよすがになればと思い、快諾した次第である。
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