海南駅前広場の万葉歌碑
紫之 名高乃浦之 靡藻之
情者妹尓 因西鬼乎
巻11-2780 詠人不詳
(読み下し) 紫の 名高の浦の なびき藻の
心は妹(いも)に 寄りにしものを
所在地 海南市名高 海南駅前広場
揮毫者 犬養 孝 氏 (国文学者)
建立日 平成7年11月11日
この万葉歌碑は、JR海南駅の駅前広場が整備された平成7年11月に建立されたものである。
歌中の「紫の」は「名高の浦」にかかる枕詞で、この歌の意味は「名高の浦の海中になびいている海藻のように、私の心はすっかりあの娘になびいてしまったよ」であろう。
JR海南駅は紀勢本線では唯一の高架駅で、一日あたりの乗客数は三千人余りある海南市の代表駅である。
海南駅は紀勢西線が大正13年2月に和歌山駅(現在の紀和駅)から箕島駅まで開通した時、日方町駅として開業した。この日方町駅は、昭和9年に合併によって海南市が誕生したのを受けて、昭和11年に海南駅と改称された。
この海南駅近辺には線路と交差する踏切が多く、特に駅の南側直近の県道野上線(現在の国道370号線)踏切での交通渋滞が、海南駅東部の経済発展に大きな支障を与えており、この交通渋滞解消が地元住民の念願であった。この地元住民念願の海南駅高架が完成したのが平成10年10月で、これにより駅周辺の交通渋滞は解消され、 海南駅東部は近年発展の途上にある。
紀州語り部 大峯 登
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