短歌を詠み始め18年になりました。昭和天皇の和歌の指導者である安嶋氏なども会員の名門学士会短歌会の末席を汚し、会報に掲載されるのを楽しみに短歌を詠み続けています。
会報は七万部も発行されていますので、短歌を通じて、今まで交流の途絶えていた旧友との交流が再開するのも楽しみの一つです。東燃OB会の皆さまとも、短歌を通じて交流ができれば幸いです。
今まで詠んだ拙い短歌の中から季節や時節に合わせて月に一度数首を選び、解説も加えて披露させていただきます。ご批評や感想がいただければ嬉しい限りです。
短歌便り-1 「終戦」
毎年夏になると、昭和20年の終戦の日々を思い出す。戦争の記憶は胸に深く刻まれ、
忘れること はない。
「花火のごと燦きて降る焼夷弾を逃げ惑いつつ美しと見つ」(甲府大空襲)
7月6日の夜、故郷の甲府市はB−29数百機による空襲を受け、我が家も全焼した。弟の
手を引き、郊外の河原に避難した。焼夷弾は空でパチパチと音を立て、花火のように広がり
降り注いだ。夏の花火大会でも花火を見るとあの恐ろしい空襲の夜を必ず想いだす。
「原爆の朝刊写真に黒字のみ焼き抜けし駅の表示板載る」(広島原爆投下)
「炎昼に夾竹桃の花咲けり終戦告ぐる放送流る」(8月15日、玉音放送)
「灯を覆う黒布をとれば六畳が広間に見ゆる戦終わりぬ」
灯火管制が解かれ、それまで電球を覆つていた黒い布を取り去ると、疎開先の小さな部屋が
急に明るく広く見え、何とも言えぬ解放感に襲われた。
以 上
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