氏 名
豊田 乾
 所 属
東燃関東地区OB会
 掲 載 日
平成22年08月14日
表 題
 短歌便りー2
本   文 


 短歌便り−2「夏来る」

 「谷戸渉る風は若葉の香にみちて時鳥(ほととぎす)啼く夏は来にけり」

 「五月雨の暗き葉陰に輝きて獣眼のごとき椿の実あり」

 「山茶花の若葉に連なる朝露は首飾り(ロザリオ)のごと陽に透き光る」

 「(あら)梅雨(つゆ)にしとどに濡れし白き百合露の重みに伏して崩れぬ」

 「潮風は磯の香に充つ見上れば空は水色梅雨は明けしか」

 「暁の夢か遠啼く時鳥(ほととぎす)覚めての後も胸に(とよも)す」

 「遡り来し稚鮎の群れは水底(みなぞこ)に光集めてときに燦めく」

 「雷雲は見る間に湧きて睨みあう力士のごとく夏空に()つ」

 「夏逝くか全山覆い次々とうねり波なすひぐらしの声」

 夏が来ると、海と里山に囲まれた鎌倉の谷戸には時鳥が啼き、夜には蛍が舞う。里山からの清流には稚鮎の群れが遡上し、それを狙って翡翠や白鷺も飛来する。

                            以 上

                         
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