短歌便り−3「夏の小動物達」
「猫に追われ石より落ちし仔蜥蜴は青き尾残しあたふたと隠る」
「去年の秋石もて打たれし青き蛇か子ら脅かし夏草に消ゆ」
「灯の下に蟇は傲然と構えたり突けど動かず石のごとくに」
「蛇の仔の死骸を曳きて延々と葬列のごと蟻の連なる」
「初夏の風さわさわと吹き渉り二声残し時鳥去る」
「鶺鴒はときに留まり尾を振りて案内するかにわが先を行く」
「青葉梟の唱うる呪文に誘われて薔薇は伸びるか五月の闇に」
「南風吹き川面に鯔の跳ぶ夕べ跳ばざりしことの多きを想う」
「夕暮れに鶯の音はすでに絶えひぐらしの声一山を占む」
夏になると、庭に蜥蜴と2mほどの青大将、門燈の下に集まる虫を目当てに蟇蛙、可愛い目のやもりが訪れる。以前よく来ていた栗鼠の一家、河原鶸の群れは少なくなった。
空には鳶が弧を描き、烏と空中戦をしている。来訪を楽しみにしているのは時鳥と青葉梟、谷戸の小川の蛍、稚鮎、翡翠、白鷺である。鶯、ひよどり、椋鳥、四十雀、目白、鶺鴒は多いが、山雀、こげらなどは少なくなった。
以 上
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