氏 名
豊田 乾
 所 属
東燃関東地区OB会
 掲 載 日
平成22年09月06日
表 題
 短歌便り―3
本   文 


 短歌便り−3「夏の小動物達」

 「猫に追われ石より落ちし仔蜥蜴(とかげ)は青き尾残しあたふたと隠る」

 「去年(こぞ)の秋石もて打たれし青き蛇か子ら脅かし夏草に消ゆ」

 「灯の下に(がま)は傲然と構えたり突けど動かず石のごとくに」

 「蛇の仔の死骸(むくろ)を曳きて延々と葬列のごと蟻の連なる」

 「初夏(はつなつ)の風さわさわと吹き渉り二声残し時鳥(ほととぎす)去る」

 「鶺鴒(せきれい)はときに留まり尾を振りて案内(あない)するかにわが先を行く」

 「青葉梟(あおばづく)の唱うる呪文に誘われて薔薇は伸びるか五月の闇に」

 「南風(みなみ)吹き川面に(ぼら)の跳ぶ夕べ跳ばざりしことの多きを想う」

 「夕暮れに鶯の音はすでに絶えひぐらしの声一山を占む」

 夏になると、庭に蜥蜴と2mほどの青大将、門燈の下に集まる虫を目当てに蟇蛙、可愛い目のやもりが訪れる。以前よく来ていた栗鼠(りす)の一家、河原(ひわ)の群れは少なくなった。

 空には鳶が弧を描き、烏と空中戦をしている。来訪を楽しみにしているのは時鳥と青葉梟、谷戸の小川の蛍、稚鮎、翡翠(かわせみ)、白鷺である。鶯、ひよどり、椋鳥、四十雀、目白、鶺鴒(せきれい)は多いが、山雀(やまがら)、こげらなどは少なくなった。

                            以 上

                         
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