ゆくりなく有田蜜柑の本場に骨を埋めることに。ぐるりはみんな蜜柑農家。年一度の収穫に農夫は年中、樹の世話に汗を流す。除草・施肥・消毒・散水・摘果となに一つ楽な仕事はない。でも黙々と伝統を守りつづける。
こちらは年金ぐらし、働くこの人達を横目に、ときには花みかんの香に酔い、青玉・黄玉の美しさに打たれして、蜜柑の四季に付き合いながら、この地に住む誇りと切なさに明け暮れる。ただこの先、農家は後継ぎや価格激安など深刻なテーマにどう取組まれるのかを案じながら。
和歌山県試験樹の札花みかん
歩きたくて歩くしあわせ青蜜柑
吾(あ)に熱き青年期あり青蜜柑
打たむかなゴルフ球なみ青蜜柑
早熟(わせ)みかん割らむと濡れし指の先
蜜柑山熊野古道をとほしけり
有田蜜柑本場誇りに墓地を購ふ
炎天に蜜柑消毒目だけ出し
みかん山力を抜いた月ひとつ
供えみかんくすね南無阿彌陀佛かな
カラオケに興じ明日から蜜柑採り
蜜柑採り子が継がざればそれもよし
以 上
|