氏 名
豊田 乾
 所 属
東燃関東地区OB会
 掲 載 日
平成23年01月14日
表 題
 短歌便り-10
本   文 


    短歌便り-10 「友」

  たちまちに悪童面(あくどうつら)の現れぬあだ名合い呼び(ひとみ)交わせば

  宴(うたげ)には故郷(ふるさと)の方言飛びかよい友らと還る少年の日々

  病む友に同窓会の知らせ出す命迫れることは知りつつ

  革命を夢見し友と並び立ち冬の紅葉を(もだ)して眺む

  地位もなく歓迎会もなき帰任なり友注ぐ酒の胃に暖かし

  亡き妻と夢に会えるが楽しみと語りし友の遺影は()みぬ

  通夜の席脚元に来る秋の蚊を旧友(とも)と思いて血を吸わせおり

  街角に亡友(とも)の好みし唄流れその一節を口ずさみみる

  友逝けり呆然たる眼に遠方(おちかた)の冬の花火は音無く開く

  友ねむる丘辺に立てば桃の花の霞の底に盆地はけぶる

 久しぶりの故郷の友達との会合、学校や職場の仲間達の同窓会は楽しい。久しぶりに会う旧友など、お互いに歳をとり、一見したばかりの時はどこの爺さんかと疑うが、方言などで会話を交わすうちに昔の顔に戻るから不思議である。

 しかし、時間は残酷に経ち、友との別れが訪れる。その折に詠んだ歌を詠みかえすと、友との想い出はまざまざと脳裏に蘇る。

                            以 上

                         
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