オレゴン州の太平洋岸に沿って500Kmも続くオレゴン・コーストは風光明媚なドライブと多彩な生き物たちを楽しめる観光スポットである。コースト中ほどにある、世界最大のアシカの洞窟シーライオン・ケイブスを見学、アシカの大群のうめき声と獣臭いにおいに閉口したあとさらに北に進むと、美しいヘセタヘッド灯台が眺められるピクニックに絶好の海岸に到着した。
この海岸で米国人家族の大変興味ある光景を目にした。この遠浅の海岸に流れ込んでいる川幅30mほどの川を一列で渡る10人ほどの子連れ家族の一団である。2家族で海岸にピクニックに来たのであろう。先頭の夫婦はブルーシート、折りたたみいす、クーラーボックス、昼食材料などを両手にいっぱい持ち、そのあとを5~6歳の男の子を筆頭に2歳ぐらいまでの子供5人がそれぞれの荷物をリュックに背負い、姉は妹の手をつなぎズボンのすそが濡れるのも気にせずかなりの急流を渡っている。おまけに黒い犬も連れている。そのあとに乳飲み子を抱えた若い母親が、重い荷物を背負った男の子を従え平然とわたっていった。まるでカルガモの親子が川を渡っていくシーンを見ているようであった。この日は天候も不順でかなり肌寒かったが、向こう岸に渡るなり子供たちは水着姿になり、浜辺いっぱいにビーチボールを追いかけ嬉々として遊びだした。
この光景を見ていた我が老夫婦は大変びっくりすると同時に、ここに自立心を重視する米国人の子育ての真髄を見た思いがした。日本ならば5歳の男の子は別にして、2~3歳くらいの子であれば大人が抱っこなりおんぶして川を渡っているところだろう。過保護になりがちな日本の子育てに対し、たくましさと自立心を重視する米国人の子育て。同年齢の孫たちを持ち、とかく甘くなりがちなジジババとしては反省することしきりであった。
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