何も昔を懐かしがっている訳ではない。私たちはアナログ時代を生き抜いてきた。今、ほとんどすべてがデジタル化された時代の中にいる。静かに振り返ってみたいことがある。
昭和40年(1965年)」に東亜燃料工業(株)に入社した当時、石油プラントの設計や運転技術などは、全てアナログが基本であった。技術設計は、計算尺とソロバン、そして確認のために筆算という具合であった。その後、しばらくして和歌山大学に巨大な計算機が導入され、公用外出して自分で技術プログラムを組み、カードパンチ作業をして計算機にかけるという仕事をした思い出がある。
さらに、時代と共にどんどん便利に、小型化、ついに個人でパソコンを持つ時代へ。アナログ技術を徹底的に習得、経験した者としては、アナログからデジタルへ移行しても、ほとんど問題はなかった。
しかし、今アナログを知らない世代が、いきなりデジタル文化に接し、いろいろと問題があるようだ。要は、基本がわかっていないこと、デジタルに使われており、これをしっかりと使いこなすことができない、といった現象が気になる。
ある特定の有能な人たちだけが満足しているものの、普通の人たちには、その中身がちんぷんかんぷんなので、いきおい「おいてけぼり状態になってはいないだろうか」という心配である。
日常生活におけるさまざまな道具類(電子レンジ、冷蔵庫、エアコン、テレビ、カメラ、自動車など)は、個人で修理はおろか、壊れていないのに買い替えるというもったいない時代、すなわちアンチ・エコ時代となっていることの不自然さにも気がついていないのである。
今、もう一度アナログ文化を見直す時代ではないだろうか?みなさん、どう感じておられますか?デジタルを目の敵にしている訳ではありません。バランスよく使いこなすことの大切さを提唱したいのです。
以上
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