氏 名
星野 辰夫
 所 属
東燃化学OB会
 掲 載 日
平成23年10月22日
表 題

 胡桃(クルミ)の細工を楽しむ

本   文 


 多摩川や相模川の河川敷に自生するクルミは10月初旬になると、熟成して地上に落下してくる。涼風の中、せせらぎの音を聞きながら、晴天の下、ハイキングを兼ねて拾い集めに歩き回るのも楽しみの一つである。累々と、たわわに実ったクルミを見上げると、少しばかり興奮を感じる。(地上に落下するのが待ち切れず、長い竿で叩き落とす方が常套手段になっている。)

 クルミの形状は木により、川によりそれぞれ異なり加工しながら現れる異なった表情が楽しめる。クルミの外側の果肉は潰すと非常に強い灰汁が出て皮膚の表面を茶色に染める、しかも皮膚組織の内側まで浸透するらしい。これは天然染料即ちタンニン染料だそうだ。これに染まると皮膚の組織が完全に入れ替わるまで脱色できないので、果実の部分は素手で触れない方がよい。地元の古老に言わせると、収穫したクルミは暫く地中に埋めておき周りの果肉が腐って無くなった頃を見はからって掘り起こすらしい。

 クルミの加工

 1. 輪切り状に削る際、あまり深く削ると白い「実」の部分が飛散してしまうので浅く削る。

 2. 荒削りしたクルミの白い部分の「実」を曲げた針金とナイフで取り出す。「実」を取り除いた後、体裁を見て更に深く削る。取り出した「実」は潰してクルミの周りに塗り付けて着色と艶出しに使う。取り出した白い実を殻の周りに押し潰すと果汁で変色してくる。退色することはない。口の内部や、窪んだ個所に異物が付着しているので取り除くが、これに最も時間がかかる。

 3. モンキー型は同一形状の物は一つもない。輪切り型は更に加工して「ボタン」「ループタイ」「ネックレス」等に工夫してみる。完成したペンダントは暫くの間(一か月ほど)掌で揉んでいると、僅かに深みのある色に変わり艶が付いてくるのが楽しめる。世の中に一つしかないオリジナルになる。

 4. 食用に供するにはクルミの実は殻の中でそのまま常温で長期間(一年は確認済み)保存しても傷まないようである。この事から太古の昔は保存食として貴重な食料源であったに違いない。

 ・フライパンに載せて少し熱を加えると殻の先端が微かに開いて来るので、マイナス・ドライバーを挿入して捻じると簡単に実を取り出せる。

 ・クルミの実は薬用効果の点で悪玉コレステロールを減少させる効果があるらしい。

 ・空になった殻を防寒着用のボタンにしてみた。ユニークな趣が出せそうだ

                                              /以上

たわわに実って熟したクルミ
輪切り型(上 左)モンキー型(上 右)荒削りのクルミ(下)
モンキー型に吊り紐を取り付け
ボタンの裏側(上)ネックレス(下) ループタイの支点
少し熱を加えると殻の外側は口をあける
「防寒着」用のボタン

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