1.酒断ちて夢の中での花見かな
2.新緑に宿木の緑溶け込みぬ
3.疏水縁酔眼で見る蛇長し
4.指先に花咲くごとく胡瓜生る
5.夏休み心弾みし海碧し
6.夏没日魚跳ねろや高々と
7.潮溜まりここも大なる世界かな
8.主去るも誰が操るか蜥蜴の尾
9.喉渇き見舞い帰りの西日かな
10.空蝉になりし知人との酒静か
11.二日酔い論点朧や牧水忌
12.眩くもよぎる面影金木犀
13.妻残すワタまで食らえ初秋刀魚
14.おちこちの種の陰干し菊日和
15.季寄せにはマンボウ忌とせよ秋の季語
春から秋までの句をまとめました。この間は日々の自然の変化が激しく、心に沁みる事象が沢山あり句を作りやすい時候です。
先般、我が青春の愛読書「夜と霧」「幽霊」「ドクトルマンボウ昆虫記」「楡家の人々」等の作家、北 杜夫の訃報を知って誠に残念な思いがしました。この喪失感は「内田 百閒」「高橋 和己」
「山口 瞳」「藤沢 周平」「古今亭 志ん朝」「鶴田 浩二」「先代の飼い猫」の時とは少し違い、大事にしてきた世界が遠くへ去ったような気がします。
以上
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