且来八幡神社は、海南市且来の八幡山の麓 大杉が茂る杉林の中にあり、且来地区の産土神である。
祭神は応神天皇(おうじんてんのう)、伝承によれば古事記、日本書紀の時代であるが、仲哀天皇(ちゅうあいてんのう)の妃である神功皇后(じんぐうこうごう)が「朝鮮の新羅の国に進攻せよ」とのご神託を受け、妊娠中ではあったが武内宿禰(たけしうちのすくね)らを従え、軍船を整えて海を渡り新羅に進攻 して服従させた。そして帰国した後九州で応神天皇を出産されたという。
その凱旋の途中、当地且来に立ち寄られた。且来の里人たちは仮殿を建て、応神天皇を抱いた神功皇后をお迎えした。そして皇后にこの地での永住を嘆願したところ皇后は「旦(あした)来よう」と約束されたという。これが「且来」の地名の起こりであるといわれている。「旦来」の字はいつの頃からか「且来」と書かれるようになっている。
且来八幡神社の本殿は建立年を証明する資料は無いが、三間社流造り檜皮葺きで形の整った彫刻等ほぼ建立当時の部材や形態が保たれており、桃山時代の様式を示す貴重な遺構で、極彩色の本殿は周囲の木立の緑に映えて壮麗華美であり、県の文化財に指定されている。
紀州語り部 大峯 登
|