女良古墳は海南市下津町女良、JR加茂郷駅の西方2kmにある高田機工(旧丸善石油跡)の北1kmの所にある女良集落の背後の山腹、みかん畑の中にある。
この古墳は昭和44年(1969)7月に発掘調査され、その時石室内から金環や須恵器等が発掘された。古墳の規模は底径約15m 高さ5mで葺石や埴輪等の外部遺構は認められない円墳であったと推定されている。石室は緑泥片岩の石積みで南向きに開口し、和歌山の代表的な古墳である岩橋千塚古墳群や室山古墳群等に見られるのと同様、石室奥壁に石棚を有する後期横穴式石室で保存状態もよく、和歌山県下の古墳を知るうえで考古学上貴重な遺跡であり、当女良古墳は県指定の文化財である。
尚、現在の古墳は海岸線よりはるかに遠い位置にあるが、古墳時代の海水面は現在よりはるかに高く、JR加茂郷駅辺りまでが海であって下津町方区(私の住んでいる在所)や丸田区はすべて干潟だったのである。従って当古墳の周辺はその当時農耕にも漁労にも適した環境にあったと推察できる。
紀州語り部 大峯 登
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