氏 名
豊田 乾
 所 属
東燃本社OB会
 掲 載 日
平成24年08月01日
表 題

 短歌便り-No.28 (雀)

本   文 


 撒き餌する妻を待ちかね雀らは電線に並び押しくら饅頭

 電線にとまり餌を待つ雀らに妻は声かけパン屑をまく

 朝ごとに餌をまく妻の呼び声に雀は群れなし庭に降りくる

 雀らは群れなし来たりピョンピョンと跳びつつ庭の撒き餌をあさる

 羽根震わせ餌をねだる仔に親雀は口移しにて撒き餌を与う

 餌に集う雀の騒ぎかたわらにかしこまりおり陶の蛙は

 笠つけて陶の狸は梅雨に濡れ撒き餌ついばむ雀ら見守る

 雀らの精一杯のおめかしか黒き隈どりに茶色の羽織

 雀らにきじ鳩のつがい加わりて狭庭は小鳥の楽園となる

 餌に集う雀ら見つつ朝餉とる妻と二人の朝の幸せ

 妻は朝一番に雀らに餌を与える。雀とキジ鳩にパン屑、山雀と四十雀にヒマワリの種、冬には目白とヒヨ鳥への蜜柑が加わる。最初は数羽だった雀も二十羽ほどに増え、キジ鳩の夫婦も来るようになった。

 初夏には仔雀も親より大きくなっているが、羽根を震わせて親に餌をねだる。親はすかさずそばに寄り、口移しに餌を与える。

 パリやニューヨークの雀は戸外の食卓の足元まで寄り餌を啄ばむが、日本の雀は臆病ですぐ逃げてしまう。
 

雀とキジ鳩

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