いま私は海南市に住んでいる。今年の初めに、和歌山市在住の語り部仲間から「人が乗る駕籠を作る所を探して」と連絡があった。あれこれ考えたが、もしかしてと記憶にあった「桶屋」を訪ねた。桶屋は跡形もなく、ご主人も他界して久しかった。
まあ無理だろうと、放置していたら二月ほどして「まだ見つからないか」と督促が来た。放置していた責任もあり、思えば私の親は建具工場を経営していたし、残された道具の使用も心得がある。「出来上がりに文句はつけない」という条件で製作を引き受けた。材料調達や試行錯誤二ヶ月、何とか出来上がったのが写真の駕籠です。海南の語り部仲間に見せたら意外と好評、調子に乗って投稿となりました。
さて駕籠の使われ方が気になり、「9月9日にイベントのリハーサルがある」というのでカメラ片手にお城へ。イベントの名称は“来て着て楽しむ和歌山城”とあり、10月~11月お城を訪ねた人に、殿様やお姫様、鉄砲衆などの衣装を着て楽しんでもらったり、語り部が城内を案内する仕掛け。駕籠は希望する人に乗ってもらったり、写真用の小道具に使うという。
このイベントは市民提案型事業で、和歌山市語り部クラブと和歌山大学が共同企画して市の審査に選ばれ、事業費の援助を受けて実行するということでした。
この日、イベントの役者?が記念撮影、あの駕籠が役者達の真ん中に置かれていました。(駕籠の依頼人は「ぜひ多くの方に着てもらって!」との伝言でした)
ちなみに 「相棒」、「足元を見る」(客の履物の傷み具合をみて料金を決める)の言葉は駕籠かきから出た言葉だそうです。
以上
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