清工の同好会として『謡曲クラブ』が発足したのを機会に、自分も誘われ入会したのが平成3年だった。先生として従業員で謡曲のベテランである小池忠一さん(後・観世流師範)にお願いし稽古したことが思い出される。以後会員の転勤、退会などでメンバーは大幅に減少したが、一般の方の入会などで同好会の灯は消えることなく『小池会』として静岡市の文化団体『静岡観世会』に加盟して今日に至っている。
小池先生には退職後も引き続きお世話になり、平成21年まで約18年間指導を受けた。今はその教えを元手に、テープなどを副教材に加えて、現在、毎月2回地元の公民館で自主稽古をしている。稽古事は何でもそうであるように、他の会の人達と発表会などで交流しながら私の謡曲歴も20余年になった。今春77歳の“喜寿”をOB会でも祝って頂いたのを励みに、これからも生涯の趣味として<謡曲>を楽しむ積もりである。
普段の活動としては四季ごとに、そして市の文化祭などで年5~6回の発表会があり、これに参加するので結構忙しい。さらに東燃OB謡曲同好会もあり、今年も3月横浜市の久良岐能楽堂で行われた。本社、川崎の同好の仲間と一日7曲たっぷり謡い、終わってから、喉湿しの懇親会で納める年1回の例会は非常に楽しい会である。
また自分は謡うだけではなく、その謡曲に関わる場所を訪れるいわゆる謡蹟巡り”も好きで今まで幾度か謡曲本片手に巡っている。勿論、地元『羽衣』の天女の舞の現場三保の松原は言うに及ばず、県外では『高砂』の兵庫県高砂神社の相生の松。『鞍馬天狗』の京都鞍馬寺から貴船神社までの義経修行の山中散策。『源氏供養』の滋賀県大津市の紫式部所縁の石山寺等々、単なる観光に終わらぬ楽しみがある。謡曲に出てくる場所で暫し思いを巡らすのも良いものである。
私は入社から3年間勤務地は和歌山工場だった。御坊市の『道成寺』も訪れてみたいがレベルの高い曲目であり、私にはとても謡えない。
以上