俳句便りー18
1.しくじりか梁より落ちる青大将
2.古希へいざ生きざらめやも羽抜鳥(はぬけどり)
3.乙女座を杖でなぞるや青田道
4.海の墓碑大和ヨーソロー盆の月
5.星飛んで蒼ざめし馬棺(ひつぎ)曳き
6.宿題帳記憶の隅や夏薊(なつあざみ)
宮崎 駿の「風立ちぬ」のポスターにある「いざ生きめやも」というフレーズに違和感を覚えました。「已然形+やも」は否定の反語と高校で習いました。調べたところヴァレリーの詩の堀辰雄の誤訳で、これでは「生きましょうか、いいえ死にましょう」となってしまいます。丸谷才一氏と大野晋氏が対談で堀辰雄のこの誤訳を指定していました。
正しく使用しているのは斉藤茂吉で、次の歌があります。
「あたたかき飯(いひ)くらふことをたのしみて今しばらくは生きざらめやも」
以上