明けましておめでとう御座います。新年にふさわしい、おめでたい寺号の名刹「勝利寺」(しょうりじ)を紹介させて戴きます。
お寺は和歌山県九度山町字慈尊院にあり、「勝利」とは辞書によると現生利益または厄除けのことです。弘法大師が高野山を開創される以前の創建と伝えられる古寺で、815年大師が厄除けのために十一面観音を奉納され、その翌年嵯峨天皇から高野山を賜ったそうです。以来厄除け観音として信仰されてきました。
寺の仁王門は1744年高野山奥の院の明遍杉で作られ、両脇にいかめしくひかえた仁王は2.5mの堂々たるもので、門前には大小いくつかの草鞋が供えられています。
その昔、多数の宿泊者や参詣者で賑わい、高野山に登るにはこの勝利寺の前の町石道を玄関口として、新しい草鞋に履き替え、仁王様にお供え願掛けしたと云います。現在も足の不自由な人が願を掛けて、奉納する光景が見受けられるとのことです。
またお寺の庫裏(現在の高野紙資料館「紙遊苑」)には、紀ノ川を一望できる山紫水明に富んだ見事な庭園があり、春には桜、秋にはモミジと庭園に色をそえています。その他本堂を含め九度山町指定の文化財も数多くあります。
ネット検索で「勝」と云う字の入った寺号は多いのですが、「勝利」の寺号は他に見当たらず、日本で唯一の「勝利寺」と思われます。「勝利」は一般に「勝負に勝つ」という意味で、捉えられるようになり、スポーツや勝負事に勝つ、競馬、競輪等賭けごとに勝つ、入試や就職試験に合格勝利する等、祈願するお寺として親しまれています。
住職は慈尊院の兼務で常時は慈尊院にいます。最後に皆さんの願掛け勝利を祈念しています。
以上