今年は午年。縁起を担いで馬・駒などの字が付いた山々に出かけた話をよく聞く。近くは箱根の駒ケ岳。干支の山、最高峰は木曽駒ケ岳だが高峰の白馬岳に出かけた仲間は、雪で閉じ込められた三賀日の後、絶好の晴れ間のおかげで栂池高原から主稜線まで登って山スキーで厚く積もった新雪を蹴立て大滑降したと自慢する。私にそんな冒険はできかねる。
そこで干支の山に登りたい人たちを率いて、国土地理院地形図で全国唯一「午」の字が付く午頭山(ごんずやま)に登った。午頭山は埼玉県毛呂山町にあるたかだか標高312mの里山にすぎない。池袋から東武東上線に乗って、坂戸で越生線に乗り換えて東毛呂で降りるか、JR八高線の毛呂で降りて30~40分も歩くと登山口の住吉神社に到着する。山を越えれば梅で名高い越生町であるが毛呂山町のこのあたりは柚子の名所である。
残念なことに午頭山は登山案内も標識も全く無い。その上、薄い踏み跡と急傾斜の薮尾根だから軽い気持ちでスニーカーといかない。暗い杉植林で覆われ、頂上は薮の中で山名標もなく、その向こうは金網で遮られたゴルフ場と登山には趣に欠ける。好事家以外は登らない山らしい。
一緒に登った人たちは下山後、住吉神社で今年の安全山行を祈りつつ、捧げたお神酒のお流れを頂戴して「日本アルプスよりも気を使った」と感想を述べた。
ついでに言えば、日本で一番低い駒ケ岳も峠を越した向こうにある。国土地理院の地形図などにその名は記名されていない。しかし頂上にはその分野では有名な駒ケ岳クラブのペナントや越生駒ヶ岳という山名を記した赤い小標識が立っている。
越生の梅祭(この記事が掲載された頃はもう・・・)、あるいは毛呂町の柚子の花が香る頃、住吉神社の薔薇園が美しい時期に、両山に登られてはいかがだろうか。今年一年の幸福がきっとある。
来年は未年、秩父の羊山公園、それで満足できない方は未丈ケ岳か羊蹄山が干支の山かも・・・
以上