2001年から約9年間、青森県六ヶ所村に単身赴任した。海辺に育った身としては近くに山野があり季節の移り変わりがはっきり認識できる生活は新鮮そのものだった。
引っ越したのが12月だったので、いきなり雪の洗礼をうけ、地吹雪舞う慣れない雪道をスリップしながら車を走らせた。一晩で数10㎝(一番酷かった時は一時間で)は積る。朝通勤途上に車が何台も雪の中に突っ込んでいる場面に遭遇することは日常茶飯事だった。従って、道を歩いている人などめったにいない。そんな厳しい冬を何とか乗り切り春が来ると気持ちも高揚してくる。
3月になり湿った大雪が降ると冬の終わりを感じる。次に道端の至る所に巨大な!ふきのとうが見られるようになる。私が春を一番感じるのは山桜が咲く山なみの景色。派手さはないがなんとなく緑と淡いピンクのグラデーションを眺めると心が和む。また、八甲田山のぶなの新芽の赤褐色も春の始まりを告げているので気に入っている。
この時期、長い冬に耐えた反動からかこぶしも梅も桜も一気に咲き誇る。桜の花も関東に比べ濃密な気がする。今まで馴染みのなかった山菜もふんだんだ。しどけ、みず、行者にんにく等最高に新鮮で美味。八甲田山でも山菜取りの人が車を道端に止め、山に分け入っている。
圧巻は、弘前の桜でしょうか。お堀の染井吉野、天守閣の紅枝垂れ桜は本当に見事です。また、桜に比べ地味ではあるが林檎の花も可憐で綺麗だ。
春がすぎ六ヶ所村はヤマセで霧に包まれまた寒さがぶり返すが、青森はねぶた等祭りで熱気に溢れた短い夏、八甲田山はブナの黄葉の秋を迎える。
このような鮮明な季節の印象は青森でしか感じたことはなく、まさに第2のふるさとでしょうか。
以上