氏 名
 田中 秀男
 所 属
東燃和歌山OB会
 掲 載 日
平成27年08月24日
表 題

 和歌山県由良町「興国寺の灯籠焼」

本   文 

 興国寺は安貞元年(1227年)、源実朝の菩提を弔うために建立された西方寺(真言宗)が前身で、後に法燈国師を迎え禅宗に改めました。最盛期には末寺も143カ寺を数え「紀の国に興国寺あり」と言われるほど栄えました。

 この寺は臨済宗法燈派の大本山で、虚無僧が、普化明暗尺八を奏しながら普化宗を全国に普及させたことでも有名です。また、私達が毎日のように使用する醤油製造の発祥の地でもあります。法燈国師が中国の修行で習得した、金山寺味噌の製造過程から醤油を生み出したと言われています。近くの国道42号線沿いには金山寺味噌、醤油の専門店が店を開きます。

 今回は、毎年8月15日の午後9時より午後11時にかけて開催される「燈籠焼」について紹介します。鎌倉時代より伝えられる先祖の霊を送る精霊送りの行事で、県の無形民俗文化財にも指定されています。

 多くの見物人とカメラマン・報道関係者が集まる中、檀家の新仏は白張りの、年忌仏は色紙の切子燈籠を掲げて本堂に集り法要の後、全国から集まった虚無僧が尺八を奏する中で、年忌檀家が法堂の周りを3回まわった後、虚無僧を先頭に寺の大燈籠、各檀家の切子燈籠の行列が参道を下り火祭り場(カマ場)に向かいます。

 カマ場では小学生の松明踊りにつづき、長さ4m、重さ150㎏の4地区の4本の大松明の両端に火が付けられ、4人の地区代表者が順に大松明を一人で担いでカマ場を3周まわり、次にこれを立てた後、最後に井桁に組みあげます。
 多くの住職の念仏と尺八の音が響く中で、まず寺の燈籠を火に投じ、続いて各檀家が切子燈籠を火中に投じます。火柱は8mほどに立ち上り、先祖供養の壮大な火祭のクライマックスを迎えます。火炎の熱を全身で感じながら、供養される霊の冥福を祈りました。

 写真説明
   写真―1 興国寺の法堂
   写真―2 東燃OB 溝口圭一氏の奉納切子燈籠
   写真―3 燈籠行列が火祭り場に移動する際の先頭に位置する虚無僧
   写真―4 奉納大松明 (150㎏) を一人で担いで回る準備中の檀家衆
   写真―5 灯篭焼のクライマックス、全身に熱気が伝わってくる


以上 

       
 
写真-1
 
写真-2
 
写真-3
 
             
     
 
写真-4
 
写真-5
 
         
写真をクリックすると拡大写真が見られます