9月下旬のある夜、いつものようにNHKの「ラジオ深夜便」を聴いていたら、駒ヶ根からの現地情報で、「ここでは山の紅葉が始まっており、中央アルプスの千畳敷カールもあと4~5日で紅葉の見頃になるだろう」とのこと。 「千畳敷カールの紅葉を見たい」という気持が高まり、好天気が期待された6日後の9月29日に、友人と一緒に行くことになった。
家を5時15分ごろ出て、その友人のマイカーで中央道の駒ヶ根インターチェンジを降りたのが10時ちょうど。そこからは一般車の乗り入れが禁止されているため、バスでロープウエイ乗り場の「しらび平駅」まで30分、更にロープウエイに乗り換え、標高2,612mの千畳敷駅に着いたのは11時過ぎだった。この千畳敷駅は日本で1番標高が高いところにある駅とのこと。
駅舎から一歩外へ出ると目の前に美しいカールが広がり、標高2,930mの宝剣岳が岩肌をむき出しにしてそびえる。また向きを変えれば眼下に駒ヶ根市、その先には、富士山に次いで日本で2番目に高い北岳や3番目の間ノ岳などの南アルプスの遠望。目がくらむような秋晴れのもと、紅葉はまさに見頃だ。ただ、残念なことは、千畳敷カールを真っ赤に染めているはずだったナナカマドはすでに葉を落としはじめていた。もう2~3日早ければもっともっと鮮やかな紅葉が見られたことだろう。
ここ千畳敷カールは中央アルプスの主峰である木曽駒ヶ岳に、比較的楽に登れるところとしても有名だが、自然環境保護が徹底しており、ロープウエイ駅に隣接して控えめに建っている「ホテル千畳敷」以外には人工的なものが何もないのがすごくうれしい。 昼食時間含めて2時間半ほど付近を歩き、撮った写真は70枚近く。
今迄の人生で見てきた美しい紅葉は・・・、北海道の大雪や奥日光も素晴らしいが、やはり北アルプス・穂高の山々に囲まれた涸沢 (標高は2400m) の紅葉が一番だと思う。この涸沢にも紅葉の時期に4~5回は訪れているはず。できればもう一度行ってみたいが、上高地から更に標高差900m以上を、正味6時間、休憩入れたら7時間以上かけて登らなくてはならない。しかし、ここ千畳敷カールはバスとロープウエイを利用すれば、殆ど歩くことなくこの素晴らしい景観を満喫できる。
この日撮った写真の中から6枚を選んだ。全て千畳敷カールの紅葉で、”写真6”の真ん中やや左見えるのが、このカールで唯一の建物である「ホテル千畳敷」だ。
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