私の住む海南市には28社の神社がある。今は春祭りの時期、4月5日に家から1.5㎞ほどにある藤白神社の春祭りに出かけた。
藤白神社は平安~鎌倉時代に熊野参詣の御幸を迎えた由緒ある社で、境内を熊野古道が通る。海南を出発する古道歩きの出発点となる神社でもある。
春祭りは神様に豊饒及び地域繁栄と安全を祈願する神事。午後から氏子の総代が神前に集い、神職が祝詞を奏上した後、総代の参拝が行われた。その後、災いを払うための餅投げが行われた。
この神事の太鼓が打ち鳴らされる頃には、どこから来たのだろうと思うほどの人たち約300人で境内が埋まっていく。餅投げは安全と公平を配慮してのことだろう、最初に小学生以下の子供達、次に中学生以上の女性、その次は中学生以上の男性の順に分けて行われる。
大人たちが餅を拾う頃には、笑顔の子供たちが自分の拾った餅の数を、袋から出して数え合うのがほほえましい。
この神社の権現堂には、神仏集合の時代に、神の正体とされた本地仏と呼ばれる仏像が祀られている。熊野三山の神の本地仏である。
写真に向かって
右は 薬師如来 熊野速玉大社の神の本地仏
中は 阿弥陀如来 熊野本宮大社の神の本地仏
左は 千手観音 熊野那智大社の神の本地仏
幾多の兵火や明治初年の廃仏毀釈の危機を、村人の篤い信仰で救われたと伝わる。現在は県の文化財でもある。熊野古道を歩いても今はまず拝めないので、この神社を訪れる時はぜひ権現堂をおたずねください。
写真説明(写真の掲載は了承を得ています)
写真―1 お昼過ぎから参拝者が次々とお参りする
写真―2 総代が参集して、神職が祝詞を奏上する
写真―3 祝詞を奏上するころ次第に人々が集まる
写真―4 中学生以上の男性たちへの餅投げ
写真―5 今日一の大きい餅が投げられる
写真―6 権現堂内 熊野三山の神様の本地仏
以上