10月16日(火)午後、横浜市磯子区の久良岐公園内の能舞台で15回目の東燃謡の会を開催した。今回の参加者は清水、金沢市の遠方から、また観世流シテ方能楽師宮内美樹さんの参加も得て12名となった。宮内美樹さんは、人間国宝野村四郎先生の門下生であり、当会メンバーも野村四郎先生の指導を受けているご縁から、今回で2回目の参加となる。
この会は東燃本社、川崎、清水の謡曲部OB等で集まり、近年では春秋年2回、ここ久良岐能舞台で謡を楽しんでいる。
久良岐能舞台は大正6年に日比谷に建てられ、解体保存の後、昭和40年に現在の場所に移築された。現在は横浜市の施設となり、能楽の普及振興のための拠点となっている。舞台は創建以来、幾多の人間国宝を育んだ歴史の重さと風格を感じさせてくれ、また、鏡板は日本画壇の重鎮の筆になるもので芸術的価値の高いものといわれている。
謡会は素謡(すうたい)で能の詞章すべてを舞や囃子を抜いて謡うものであり、それぞれ曲ごとに「役」としてシテ(主役)、ワキ(脇役)、地謡(バックコーラス)等を割り当てて行う。内容は5曲[熊野(ゆや)、橋弁慶、邯鄲(かんたん)、紅葉狩、玄象(げんしょう)]および砧(きぬた)を宮内能楽師の独吟で鑑賞した。今回はプロ能楽師が全ての曲の地謡に参加されたので身近でプロの立ち居振る舞い、技能を目の当たりにして、いつもに増して引き締まったものとなった。
謡会終了後は、京急上大岡駅近くの居酒屋で楽しい宴席を堪能し、次回来年春の再会を約して散会した。
写真6葉
写真-1 熊 野 シテ村上 ツレ神崎 ワキ綾部 ワキツレ松本
写真-2 橋弁慶 シテ家崎 子 興津 トモ宮田
写真-3 邯 鄲 シテ坂井 子 家崎 ワキ小池 ワキツレ松本
写真-4 紅葉狩 シテ興津 ワキ村上 ワキツレ岡本
写真-5 玄 象 シテ大場 前ツレ岡本 ツレ松本 ワキ神崎
写真-6 全員集合
以上