ENEOS和歌山製油所がこの10月に停止するに当たり、東燃和歌山OB会見学会が行われた。5月10日朝、箕島駅に集合しバス3台で製油所に向かい講堂へ、参加者は100人、手島政嘉所長はじめ社員の歓迎を受けた。案内ビデオに続き、所長さんのご説明を拝聴、製油所機能停止後は和歌山県と有田市の要望に応え、SAF(持続可能な航空燃料)を生産する基地となるお話を承った。
全東燃OB会長の杉山健一さんを囲んで記念写真に収まる。
その後バスに乗車し、製油所巡回に移る。1号線から左右のプラントを縫って、大崖・北大崖・港湾・砂浜の順に一周。参加者100人の方々がかつて関わった仕事の懐かしさに100通りの感慨に打たれたであろう。
私は総務で外の仕事が主、製油所巡回は初めてのような驚きで、退職後36年経って装置の増加もあろうが、なんと巨大であるのかと驚嘆した。装置は錆が目につくが、目前の地ノ島は新緑に映えて美しく、夾竹桃などグリーンベルトが森のように成長したのにびっくりした。
私は楚都浜のタンクヤードのことが忘れられず強い思いがよぎる。昭和55年頃、政府の備蓄増強方針で10万キロ原油タンクの建設に着手し、2基の底板(直径80メートル)を張り終えた時、住民の反対に合い工事は中断、未解決のまま2年間放置。底板の保持も限界に近づいた事から総務として熟慮の末、何とか解決をと難航を重ねたが遂に交渉の場作りに成功。延べ40回もの交渉で解決に漕ぎつけた事が忘れられない。彼我の当事者はほとんどすでに鬼籍に入っておられる。見学会での参加者共通の認識は、会社の上り坂と人生の上り坂が一致し、幸運に恵まれたことではなかろうか。感慨深さでいっぱいの各人を乗せたバスは、有田川河口に広がる「有田太陽光発電基地」を眺めながら楚都浜・産業道路を経て、正午前箕島駅に戻り解散。手島所長さん始め皆様の温かいおもてなしに深く感謝を申し上げ、SAFの成功と限りない弥栄をお祈り申し上げたい。
以上